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歴史・地理・旅行記

『ニッポンぶらり旅 宇和島の鯛めしは生卵入りだった』太田和彦 著  VOL.53

こんにちは、スタッフのA・Sです。
今日は「ニッポンぶらり旅 宇和島の鯛めしは生卵入りだった(集英社文庫)」太田和彦 著 を紹介します。



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内容紹介

ひとり旅はいい。


どこへ行こうと何をしようと思いのままだ。さしたる目的も持たずにぶらりと訪れ、町を歩いてその土地らしさを味わい、夜は居酒屋のカウンターに腰をおちつけ、静かに盃を傾ける楽しみ。


旅の達人・太田和彦が、宇和島、大分、会津、盛岡、金沢、京都、尾道など13都市をめぐる旅情たっぷりの酒場紀行。気ままな旅のお伴に、居酒屋ガイドとしてもお役立ちの1冊。



著者紹介

太田 和彦。


1946年生まれのラフィックデザイナー、居酒屋探訪家。



感想・書評

もう読む前から、鯛めしを食べずにいられない気分になる罪なタイトルです。


著者の太田和彦さんは、居酒屋に関する著書が多数あり、テレビなどでも居酒屋紹介をされていたことがありました。

 
私は、本より先にテレビで太田さんを知ったのですが、「時々見かける、一人でお酒飲みながら、ポツリポツリとお店紹介をしている不思議な番組」に出ている人、として認識していて、その番組を見かけると、ああまたあの人が飲みながら紹介やってる、と嬉しく見ていたものでした。


その後、著書を見かけ、「あの人じゃん!!」となって、それまで出ていた本を手当たり次第読んだのですがらテレビで感じていた、一人静かにポツリポツリと紹介している、、、まさにそんな文章でした。

 
何者なんだろう?と思っていたのですが、実は本業はデザイナーで、本業のかたわら東京をはじめ各地の居酒屋へ通い、文章を書いていらしたのです。


「ビール生」
ングングング、プハー。

 
日本酒なら
ツイー‥‥‥。

太田さんの書く、この、
ツイー‥‥‥。がやりたくて、熱燗で一杯やれる人を心底うらやんだものです。



宇和島の鯛めしは生卵入りだった ニッポンぶらり旅 (集英社文庫)

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本書ではそれが更にパワーアップしており、
 
うどんのおつゆを飲めば
スー‥‥‥。

 
うな丼なら
わしわしわし。

 
とろろ定食のとろろ汁で
ぞろぞろぞろ。


どれも、食べたくなってたまらないのです。
各地の美味しいものを探し当てるように、土地の居酒屋にふらりと入り静かに飲む。

 
その居酒屋には、お店の人の心地よいもてなしがあり、しみじみとお酒を飲んで過ごせる空間を作り出していて、、、読むたびに、こんな風に旅に出て、ふらりと立ち寄ったお店で静かに飲みたい、とおもうのです。
 

今回は宇和島をはじめとして、大分、会津、喜多方など13都市を回り、各地の名店や名所を紹介しています。

 
静岡の生シラスと桜えび、高知の鰹の塩たたき、富山ではコップ酒ツイー、高松うどん三番勝負。
高松では、15年前に迷い込むように入った小さな焼き鳥屋のママさんに会いたいと、その店は今もあるのかためらいつつ、足を向けます。

 
若い客引きに声をかけられ、店名を言うと即答され向かいます。
15年前で当時70歳ほどとお聞きしたママさんは健在で、太田さんが名前とここのお店の思い出を書いた本のことを話すとすぐにわかって頂ける。
このくだりは、ドキドキしつつジーンとくるところでした。なぜ若い客引きがこのお店を即答出来たのかも含めて。


ニッポンには、まだまだ素敵な場所と素敵な居酒屋と素敵な人々がいて、太田さんと一緒にふらりと楽しめる、そんな酒場紀行です。



≪『ニッポンぶらり旅 宇和島の鯛めしは生卵入りだった』の5段階評価≫    

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最後までお読みいただきありがとうございました。   

『パリ愛してるぜ〜(飛鳥新社)」』じゃんぽ〜る西 著 VOL.27

こんにちは、スタッフのA・Sです。
今日は「パリ愛してるぜ〜(飛鳥新社)」じゃんぽ〜る西 著を紹介します。


パリ愛してるぜ~



内容

パリで暮らす漫画男子の愉悦と憂鬱を描く、まったく新しい男目線のパリエッセイ。
 
なぜ、日本人にはビズ(頬を寄せ合うフランス人のあいさつ)が難しいのか。
なぜ、パリの寿司屋には「砂糖入り醤油」が置いてあるのか。
なぜ、パリの女性はキレやすいのか。
なぜ、パリ人は窓から部屋の中が丸見えでも気にしないのか。
なぜ、パリのオタクはおにぎりに憧れるのか。


パリの漫画家、同人誌、オタクたちの話もたっぷり読めます!


感想・書評


フランスの漫画に憧れて、パリに来たじゃんぽ〜る西さん。
パリでの出来事を書いたコミックエッセイです。
 
住んでいるところはアパルトマン7階の屋根裏部屋(エレベーター無し)
普段はパリのオペラ地区にある日本食品店でバイト、フランス語は話せない、という状態でのパリでの暮らし。

旅行とは違う目線のパリの様子もリアルですが、単純に著者の目線から面白く描かれています。
 
たとえば、日本から友人が来て一緒にバレエ鑑賞をした時の回などは、先にエッフェル塔を見に行ったらバレエの開演ギリギリになってしまい、中に入ってからトイレに行こうとするも行けずガマン!
前席のおじさんがジャン・レノに似ていたが、演目が始まるとジャン・レノが邪魔。しかし途中でジャン・レノが寝落ちして見やすくなる。しかし、こちらも・・・
 
と、バレエのことは全然わからなかったのです。

また、フランスでのビズ(キス)の習慣については、とても詳しく書いていてわかりやすいのです。
ビズのとき、頬と頬を合わせているのですが、どうやら空中に「キス」をしているらしい、ほとんどの場合が空中にキスをする疑似キスだと気づきます。
そしてわざわざ「エアーキスをする若い女の子と本当に口づけするオヤジの図」と、両者のテンションの違いをかいていたり。

アパルトマンの屋根にオレンジ色の突起がたくさんついていて、煙突なんだろうけど色も形も植木鉢に似ている、似過ぎていると疑問に思い、ずっときになっていたところに屋根に登る機会があり確かめたらやはり煙突だった、とか。

日本食品店でバイトをしているので、食べ物にまつわるエピソードもあるのですが、パリのスシレストランに行くと醤油が二つおいてあったりする場合があり、それは片方が砂糖入りなのだそうです。
 
そして、それをフランス人が買いに来てしまうが、そんな醤油はなくレストランの人間が作った砂糖入りの醤油を置いてあるのだ、と説明しても納得してもらえない。
 
砂糖入り醤油かー!!と思って読んでいたら、ちゃんとそういう時の対処マニュアルがあって、
「焼き鳥のタレ」を出す。成分表に砂糖とあるのでみんな納得して買っていく。
甘い醤油、、、確かに!!

食べ物といえば、元気なお兄ちゃんのいるケバブのお店。
早くて安くてボリュームのある、うまいケバブや中国人のおじさんとおばさんが笑顔で迎えてくれる中華総菜屋もあったり。

パリでの生活をぎゅっと詰め込んでいて、とのエピソードから読んでも面白い作品です。


パリ愛してるぜ~



最後までお読みいただきありがとうございました。    
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