これ、読んだ?

小説や実用書、コミック、漫画、新書、雑誌、児童書、絵本などを紹介するブログです。毎週月曜日を中心に更新しています。

2016年01月

『ロック・オブ・モーゼス(角川書店)』花村萬月・著 VOL.19

こんにちは、スタッフのA・Sです。
今日は「ロック・オブ・モーゼス」花村萬月 著を紹介します。


ロック・オブ・モーゼス




内容

朝倉桜は京都の私立校に通う高校二年生。

同級生の「モーゼ」こと百瀬は幼いころから天才ギタリストともてはやされ、今はプロで活躍中だ。学校に居場所を見出せない桜はいつのころからか目立たぬように行動するのが習い性になっていたが、モーゼの強い勧めでギターを始めることに。

すぐにギターの虜になった桜は高校を中退し、モーゼ率いるバンド「モーゼス」に加入。プロのミュージシャンになることを決意するが…。

熱情、誇り、挫折、成長―青春の全てがここにある。
心を掻き鳴らす、珠玉の青春音楽小説。


著者

花村萬月(はなむらまんげつ)。

東京都生まれ。
 
1989年に小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
1998年には吉川英治文学新人賞、芥川龍之介賞を相次いで受賞。
2009年、花園大学の客員教授に就任。


感想・書評
 
ギターを抱いた、こちらを見つめる少女。
表紙に惹かれて、この本を読んでみようと思ったのですが、2週間放置してしまっていました。

読みごたえありそうで、まとまった時間に一気に読みたいと思っていたら、なかなか時間が取れなかったのです。

2週間目の金曜の夜、友達から「いま読んでいるのは、芥川賞作家・花村萬月のロック・オブ・モーゼスです!タイトル通りロック小説!」というメールが来て、ものすごく驚きました。

あまり読む本が被らない人なのもありますが、芥川賞作家だったのですね(無知ですみません)
早速土曜日に時間が取れたので、念願の一気読みをしました!

というかですね、一気に読んでしまう作品ですね。勢いがあって、止められないです。

主人公の桜は、目立たないよう、いつもうつむいてびくびくして生きているような、そんな女子高生なのですが、同じクラスの(留年しているので一つ年上の)モーゼこと百瀬竜治との出会いから、劇的に人生が変わっていきます。

その変化はもたらされたものというより、もともと桜が持っていたものを解放されたようにも感じますが、モーゼと出会ってギターを弾いたことーギターにのめり込み、高校も辞め、いままでと全く違う世界に足を踏み入れます。





帯の言葉に、

《わたしはこのギターから全てを教わったー》
《いつも俯きながら生きてきた。音楽がわたしに光を与えてくれた》
《熱情、誇り、挫折、成長ー青春の全てがここにある。》

と、あるのですが、まさにその通りだと頷ける内容の、直感した通り読みごたえのある作品でした。

特に自分が少しギターを弾くこともあり、全くギターを弾けなかった桜がどんどんのめり込んで上達していく様子や、音楽を通して他人と触れ合うあたりは、なんとなく理解出来るものがあります。
もちろん、才能があるわけでもなく、なんとなく、なのですが、、、
 
『音楽はどんなに隠してもその時の自分が出てしまうし、また言葉以上に相手を理解したり、ぶつかったりもして、ただ音楽が流れるだけではない何かが存在する』といつも想うのですが、この本はそれをとてもよくあらわしてくれている、ここまでプロのミュージシャンのような思いは抱いていないけれど、おおざっぱにこんなイメージのことを、下手なりにも感じながら音楽をやっているのです。

音楽だけでなく、絵画や演技や小説や、表現と呼ばれるものは、常にその人の魂の現れがあり、誤魔化せないものなのかもしれません。
 
表現する方はもちろん、それを受け止める方の立場でも、そうなんじゃないか、といつも思っています。
そんなことを色々と、改めて感じて、私も光をもらったような作品でした。


ロック・オブ・モーゼス



最後までお読みいただきありがとうございました。     

『マンガ ほんとに怖いブラックバイト ~大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件(宝島社)』ブラックバイトユニオン・著 VOL.18

こんにちは、スタッフのK・Sです。
今日は「マンガ ほんとに怖いブラックバイト ~大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件 (宝島社)」」ブラックバイトユニオン著を紹介します。


マンガ ほんとに怖いブラックバイト ~大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件



内容

酷すぎて笑える!?
ブラック現場のオンパレード!

「ブラック企業」ならぬ「ブラックバイト」が注目を集めています。
学生の小遣い稼ぎだったアルバイトが“学生生活に支障が出るほどの重労働"に変わっているのです。
 
この本は“ほんとにあった常識外のエピソード"を元に、ブラックユーモアを交えつつブラックバイトの恐ろしさを描くマンガです。飲食店、引越し業者、塾講師など定番バイトから、キャバクラのボーイ、テレビ局といった変り種まで15種のバイト体験を収録。
 
また、学生中心の労働組合「ブラックバイトユニオン」協力のバイトトラブル対処法コラムも掲載されています。


感想・書評

読み終わって口から出た言葉は、「これがブラックバイトかっ。悲惨すぎる」でした。

飲食店や引越し、塾講師、キャバクラのボーイ等での辛すぎるアルバイト体験を伝わりやすい漫画として描かれています。

ブラックバイト。
よく聞きますが、そもそも、ブラックバイトの定義はなんだろうと思い調べました。

ブラックバイトユニオンさんのホームページを拝見すると、下記のように定義されていました。

『学生であることを尊重しないアルバイトのこと』
『学生の無知や立場の弱さにつけ込むような形での違法行為が当たり前となっているアルバイトのこと』

違法行為として、例えば、残業代不払い、休憩時間の不付与、不合理な罰金の請求、パワハラ・セクハラの放置などがあげられています。





私自身も今までにいくつかのアルバイトを経験しましたが、あのバイトって今思えばブラックバイト?と感じさせるものがありました。実例を挙げますと・・・

①労働時間開始前に働かせる【大手の新聞配達】

求人票に書かれていた労働開始時間よりも2時間前から働かされていました。
私だけでなく他のアルバイトさんも2時間前から働いていたので、当時は何とも思っていませんでしたが、今思うとありえないですよね。

②給与が社員によって決められる【引っ越し】

時給¥1,000の募集で引っ越しのアルバイトでした。
実労働時間が8時間であれば、通常は¥1,000×8時間で¥8,000ですが、そこの会社では、社員さんが実労働時間ではなく、積み荷の量や本人の機嫌で給与が決まっていました。「今日は積み荷が少ないから、実働(実労働時間)は5時間分ね」。実働時間と給与が合致しないおかしな給与体系?でした。


今、振り返るとおかしな話しですよね。
当時はおかしいとは思いつつも上司に相談するなどの行動は取りませんでした。だって、一緒に働く仲間も同じだったから。おかしいけども、おかしくはない。こんな感じでした。

給与が払われない、サービス残業、ワンオペ、雇用契約書に書かれていないのに給与から天引きされる等はよく聞く話しです。

これからアルバイトをしようとする人、既にアルバイトをしている人にも読んでほしい一冊です。



マンガ ほんとに怖いブラックバイト ~大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件



最後までお読みいただきありがとうございました。   

『なんにもない部屋の暮らしかた」』ゆるりまい・著 VOL.17

こんにちは、スタッフのA・Sです。
今日は「なんにもない部屋の暮らしかた」ゆるり まい 著を紹介します。


内容

ベストセラー『私のウチにはなんにもない』のゆるりまい最新刊!

自称「捨て変態」の著者ゆるりまいが、家族と、なんにもない部屋で快適に暮らすための知恵と工夫を伝えます。 「モノがなさすぎる部屋で暮らすのは無理じゃない?」「家族は平気なの?」そんな疑問に、全てお答えします。

 

なんにもない部屋の暮らしかた



感想・書評

なんにもない部屋、と聞いても人が生活している以上、何かあるはず!
とこの本を開くと、、、

なんと!
本当に何もないリビングの写真です!

著者のゆるりまいさんですが、これまでに・・・
 
『わたしのウチには なんにもない。「物を捨てたい病」を発症し、今現在に至ります』

『わたしのウチには なんにもない。2 なくても暮らしていけるんです』

『わたしのウチには なんにもない。3 モノとの上手な付き合いかた』

『わたしのウチには なんにもない。4 はじめての遺品整理。さすがのわたしも辛かった・・・』

上記のシリーズ1巻〜4巻と、『なんにもない部屋のもの選び』、
そしてこの『なんにもない部屋の暮らしかた』と、6冊の本をを出されています。

最初は、モノがぎっしり溢れて整理出来ない家に住んでいたのが、東日本大震災を経験し、家を失って、その後新たに家を建てて、少しずつ「なんにもない」状態になった、ということです。




 

リビング、キッチン、クローゼット、洗面所、仕事部屋、寝室、と本当に物がない状態の写真が載っています。
 
スッキリを通り越して何もない、まるでモデルルームのよう、と思われる方が多いかもしれないですが、私は、
「ビジネスホテルみたいな感じ!」という印象でした。
 
ビジネスホテルに泊まるたびに、あのコンパクトに必要最低限の設備しかない空間が快適で、自分の家もこんな風だったらいいのになー、なんて思うのですが、ゆるりさんのお家はまさに、何もなくて快適そう!

読み進めると、何もないと掃除が楽!という、考えたらそうなんだけどなかなか考えないことが私の心に一番響きました。

そう、物があると掃除が大変なんですよね。。。
特に、床に物を置いてしまうと、もう掃除なんてしたくなくなります。だって、どかさないといけないから。

でも、物がなければすぐ掃除機もかけられる。
そんな簡単なことなのに、わかっていることなのに、出来ないんです(涙)

そして、物が出ていないと、ほこりを簡単にきれいに出来る、そして楽だから掃除も毎日続けられる。

あとは、公共の場所やお店などもそうなのですが、もともとキレイだと、キレイに使う人が多いですよね。
逆に汚いと、どんどん汚くなっていく。家もそう。

本当に、そんなのわかってるよ!という方も多いかと思いますが、なかなか日々実践出来なかったり、家族がいると色々難しかったり。

そういうところもクリアして、「なんにもない」空間を作っている様子、色々参考になります。

私は、とりあえず、床に置いてあるものをなんとかしたいです。あはは。


なんにもない部屋の暮らしかた



最後までお読みいただきありがとうございました。   


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『わたしのウチには、なんにもない。 「物を捨てたい病」を発症し、今現在に至ります<わたしのウチには、なんにもない。> (ホビー書籍部)」』ゆるりまい・著 VOL.16

『わたしのウチには、なんにもない。 「物を捨てたい病」を発症し、今現在に至ります<わたしのウチには、なんにもない。> (ホビー書籍部)」』ゆるりまい・著 VOL.16

こんにちは、スタッフのK・Sです。
今日は「わたしのウチには、なんにもない。 「物を捨てたい病」を発症し、今現在に至ります<わたしのウチには、なんにもない。> (ホビー書籍部)」』」ゆるりまい著を紹介します。


わたしのウチには、なんにもない。 「物を捨てたい病」を発症し、今現在に至ります<わたしのウチには、なんにもない。> (ホビー書籍部)



内容

断捨離ブログランキング1位、汚部屋脱出!

写真と文章で自宅を紹介するスタイリッシュなブログが評判で、そのモデルルームのような文字通り“なんにもない生活”は、汚部屋に棲むすべての人たちから羨望のまなざしを受けています。

しかし、そうなるまでには、「捨てたい病」を発症した彼女と家族との長い葛藤(戦い!)がありました・・・。
極度の断舎離に至ったことの顛末を自身によるコミック化で再現。かつては汚部屋の住人だった彼女が「なんにもない生活」に至るまでには、涙と努力の紆余曲折があった!? 


感想・書評


世の中には整理整頓するためのコツや収納ノウハウについて書かれた本が多数ありますが、この本はそれらとは異なります。家にあるモノ、家具やら食器やら飾りなどをいかに収納するか、利用しやすくするのかではなく、『不必要なモノを捨てて、愛すべき必要なモノだけと暮らす』について楽しく読みやすく書かれています。

「いらないモノを捨てて必要なモノだけで生活する、って普通じゃん」と思った方はいませんか。まずはこの本の121ページ以降を読んでみてください!著者の自宅の写真があるのですが・・・衝撃を受けると思います。

 がらーん、としています。
 モノがありません。
 少なすぎます(⇒良いことだと思います)

人間が生活するうえで、こんなに少ないモノだけで大丈夫なんだと驚きと不安を感じます。と同時に、こんなにモノが少ない究極なシンプル生活ってうらやましい!と感じさせられました。

もちろん、モノが少ないイコール生活しやすい、とは一概には言えません。

生活スタイルというのは人様々であり、必要なモノは人により違います。
また、必要ではななくても置いておきたい、普段は使わないけどいつか使う(使うかも)モノは誰しもあると思います。

しかしながら、著者は捨てます、捨てます、捨てます。

必要なモノや毎日使うモノ、これを捨てても他のモノで代用できるモノなどを生活スタイルにあてはめて判断することでモノの少ないシンプルライフを実現できると説きます。





私自身、この本にかなり良い影響を受けましたと思います。
読破した後に、「よしっ!いらないものは思い切って捨てよう」と決心して、自分の部屋、寝室、キッチン、トイレ、お風呂などを見まわし、買ったけど使ってないモノ、捨てても他のモノで代用できるものは処分しました。

処分したものの一例をあげますと・・・

 ・1年に数回しか着ない服
 ・靴、サンダル、かばん
 ・封筒
 ・充電器
 ・以前、使ってた財布
 ・スマフォのケース
 ・本、CD、DVD

もともと整理整頓や収納は好きですが、どうしてもモノを捨てることに「もったいない、他に使えるのでは、いつか使うかも」と思い、捨てることに抵抗がありました。

ただ、えいやっと決めて処分した後に「気持ちいい」という感情が沸いてきたんです。
自分でも不思議でしたが、モノがなくなり部屋がすっきりしたせいなのか、捨てること自体に快感を覚えたかわかりませんが、良い経験をしたと思います。

また、モノを買うときはかなり慎重になりました。

ほんとうに必要なもの、好きなデザイン、好きなサイズのモノだけを買うことにしたんです。安いから買う、デザインが良いだけで買ってしまうと、いつか捨てる可能性があるからです。

本当にほんとうに必要なモノって、意外に少ないことに気付きました。
 
Less is better.
Less is more.

わたしのウチには、なんにもない。 「物を捨てたい病」を発症し、今現在に至ります<わたしのウチには、なんにもない。> (ホビー書籍部)




最後までお読みいただきありがとうございました。    


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『なんにもない部屋の暮らしかた」』ゆるりまい・著 VOL.17 

『山口百恵 青と赤とイミテイション・ゴールドと(朝日文庫)」』中川 右介・著 VOL.15

こんにちは、スタッフのA・Sです。
今日は「山口百恵 青と赤とイミテイション・ゴールドと」中川 右介 著を紹介します。
 

山口百恵 赤と青のイミテイション・ゴールドと 朝日文庫




内容

無数のアイドルが生まれては消えゆくなか、なぜ私たちは、彼女だけは忘れられないのか。

芸能界デビューから40年。
膨大な文献と資料から、本人と関係者の発言を徹底収集。

「伝統」と「革命」を同時に達成した、歌謡史上の奇跡「山口百恵」とその時代を活写した画期的評伝!


感想・書評
 
『山口百恵は1973年に春にデビューし、80年秋に引退した。』

そう、この本の一番はじめに書いてあります。
活動期間は8年弱、引退した時は21歳ーそんなに、若かったんだ!
そもそも、デビューした時はまだ中学生だったのです。
 
中学生の山口百恵が、デビューするきっかけとなったのが、あの有名な「スター誕生!」というテレビ番組なのですが、私も子どものころ、見ていました。
 
それどころか、大きくなったら応募したいと思っていたのです。
きっとそう思っていた人は全国にたくさんいたのではないでしょうか?
 
番組については、オーディションをして残った人たちがテレビ番組の中でまた歌い、上位の人はプロダクションやレコード会社から、交渉したいという意思表示の札が上がる・・・というようなことはなんとなく覚えていましたが、番組のシステムや細かいことは記憶に残らないほど幼かったので、この本を読んでどんな番組だったのか詳細にわかり、嬉しかったです。

そこで見出され、デビューし、歌手としてはもちろんのこと、テレビドラマや映画での、女優としての活躍、更に写真モデルとしても才能を持ち、引退を決めてからは自叙伝を書き、それがベストセラーになり、引退コンサートは伝説のように語り継がれる・・・。
 
このような人は、他に見当たらないような気がします。

デビュー後の歌手としての活動と、女優としての活動を読み進めると、女優としては映画やテレビドラマの赤いシリーズなど、演技に目覚めていき、後に結婚することになる三浦友和さんとの出会いから交際、結婚に至るまでの様子が書かれます。

歌手としては、曲を聴かなくても歌詞を書いただけでわかるほど、印象的な歌を用意され、それを見事に歌い、どんどん山口百恵のものにしていく様子は、爽快ですらあります。





「あなたに女の子の一番 大切なものをあげるわ」ひと夏の経験

「これっきりこれっきりもう これっきりですか」横須賀ストーリー

「シャワーのあとの髪のしずくを 乾いたタオルで拭きとりながら」イミテイション・ゴールド

「緑の中を走り抜けてく真紅(まっか)なポルシェ」プレイバックPartⅡ

これら以外にも、「秋桜」「絶対絶命」「ロックンロール・ウィドウ」「さよならの向こう側」など、曲の中にドラマがあり、それを演技力で歌い、歌に情景を浮かび上がらせた歌手であった・・・
 
ただ聴いているだけでは思い至らなかったのですが、この本を読んで背景やその時代の様子を知ると、改めて納得することがたくさんありました。

山口百恵を好きな人はもちろん、私のように少し知っているんだけど、、、という人にはかなりお勧めです。 

山口百恵 赤と青のイミテイション・ゴールドと 朝日文庫




最後までお読みいただきありがとうございました。   
 
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