これ、読んだ?

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『グイン・サーガ137 廃都の女王』五代 ゆう・著 VOL.2

こんにちは、スタッフのA・Sです。
今日は、五代ゆうの「グイン・サーガ137 廃都の女王」を紹介します。

廃都の女王―グイン・サーガ〈137〉 (ハヤカワ文庫JA)

 

内容

黄昏の国の女王である大鴉のザザとノスフェラスの狼王ウーラに導かれ、スカールとスーティは黄昏の道をゆく旅人となった。リー・ファの幻影に心魅かれつつもたどり着いたのは、魔都フェラーラ。

キタイの首都だったこの都市には、異形の女王リリト・デアが治めるアウラ・シャーの神殿がある。
しかし、今やかつての繁栄はなく街はさびれ、住民はキタイ兵の侵略に恐れおののくばかり。見かねたスカールは助力に乗り出すのだが・・・


著者

五代ゆう。
1970年奈良県生まれ。1991年に『はじまりの骨の物語』で第4回ファンタジア長編小説大賞を受賞しデビュー。


書評

まず、このグイン・サーガというシリーズは、元は栗本薫という作家のシリーズでした。
 
栗本薫さんは、残念ながらこのシリーズを完結される前に亡くなられてしまい、それはご本人にとっても、また私を含むたくさんの読者にとっても、残念なことではありましたが、現在は五代ゆうさん、そして宵野ゆめさんがお二人で書き継いでいらっしゃる状態です。

最初はご本人じゃない方が書かれる、ということでどうなるのかな?
と思っていましたが、お二人とも熱心な読者でもあったのでしょう。

面白さはそのまま、いまでも変わらず新刊が待ち遠しいシリーズのまま、つながっていて本当にありがたいです!

さて、物語自体をざっとご紹介しますと、現代この世界とは違う世界を舞台にしたお話です。
 
その世界に豹頭の戦士グイン。
彼が現われたことから物語が始まります。
 
グインが突然、どこからか現われ、そこにパロのふた粒の真珠と呼ばれていたリンダとレムス、ふたりは双子の王女と王子なのですが、国を攻められ逃亡中で、追い詰められていたところにグインと出会い、結果的に助けられます。

そのあと、「紅の傭兵」イシュトヴァーンが加わり、この4人が主要人物と思われるのですが、他にも大勢の魅力的なキャラクターが登場します。

この4人全員が国王にまでなったりするので、それはもう様々な物語があるのですが、私がグインサーガを読み続けて面白いと思うのは、たくさんの登場人物それぞれの人生模様、とでもいったところでしょうか。

廃都の女王―グイン・サーガ〈137〉 (ハヤカワ文庫JA)

 

現実の世界でも、一人一人に小さくても大きくても、色々な物語があるように、このグインサーガの中でも、たくさんの「それぞれの物語」があり、複雑に人生が絡み合い、関わり合い、そしてその中でみな懸命に生きています。
 
もちろん、どうしようもない悪役もいるのですが、悪いことをしている人間すら、何かしら理由がありそのように生きていて(もちろん、だからいいというのではないのですが)
それをしっかり書いている、ように読み取っています。

今は他の方が書き継いでいるわけですが、違和感なくこの世界に入れるのも、この登場人物ならこう言うな、というような人物像がしっかりあり、それを外していないせいかもしれません。
 
この五代ゆうさんの巻は、スカール、ヴァレリウスといったやはり重要なキャラクターが出てきますが、そのセリフにも違和感はありません。それは、かなり凄いことなのではないでしょうか。

これだけ長く続いてもなお、たくさんの読者が続きを待ち、受け入れられている物語です。
しっかりと長い話が読みたい方には、ぜひオススメです。(まだまだ完結まで遠そうなことだけが心配ですが!)


廃都の女王―グイン・サーガ〈137〉 (ハヤカワ文庫JA)



最後までお読みいただきありがとうございました。  

『阪急電車』有川浩・著 VOL.1

こんにちは、スタッフのA・Sです。
今日は、有川浩の「阪急電車」を紹介します!

阪急電車

 

内容
 
電車は、人数分の人生を乗せて、どこまでもは続かない線路を走っていく―片道わずか15分。
そのとき、物語が動き出す・・・


著者略歴

有川浩。 
高知県出身。2003年、『塩の街』で第10回電撃小説大賞“大賞”を受賞。受賞作に続き『空の中』『海の底』などの話題作を次々と発表、『図書館戦争』は「本の雑誌」2006年上半期ベスト1に選ばれました。


書評
 
有川浩さんといえば、映画化されて話題になっている「図書館戦争」シリーズを始め、
2015年11月21日(土)公開「レインツリーの国」、過去には「阪急電車」「県庁おもてなし課」。

テレビドラマ化作品は、「フリーター、家を買う」「空飛ぶ広報室」「三匹のおっさん」シリーズ、
など、改めて調べたのですが、こんなにも映像化されているのですね!!

正直、テレビも映画もほとんど見ないので知りませんでした(笑)


さて、「阪急電車」ですが、パラパラっとめくっていくと、関西弁のセリフが目につき、子どもの頃関西に住んでいたことがあり、懐かしいなあーと思って手に取りました。

目次を見ると、タイトルの通り、阪急電車が舞台なのですが、阪急電車の中でも今津線という路線が舞台になっています。
 
たぶん乗ったことはないですが、目次に並ぶ駅名を眺めるのも楽しいのは、自分が地図や地名を見るのが好きなせいもあるのでしょうか?

宝塚駅から、西宮北口駅まで。
そして折り返して、西宮北口駅から宝塚駅まで。片道わずか15分のローカル線に各駅ごとの登場人物と物語がありました。

阪急電車

 

そして少しずつ、各駅ごとの物語が他の物語にも重なっていて、読み進めていくうちに、
あ、この人たちはさっきの駅で降りた人たちだ!とか
あの人とこの人たちが関わるんだ!とか
物語が重なっていたり、少しだけ関わっていたりするのです。

電車が折り返して、別々の物語が少しずつ重なりながら終点に到着した時は、まるで自分も阪急電車に乗って、外の景色を眺めながら、人それぞれのドラマを見ていたような、一緒に体験していたような、不思議で心地よい気持ちになりました。

それぞれのドラマが、もちろん楽しくもあり悲しくもあるのですが、楽しいドラマは幸せに、悲しくても光のある、そして人と人との関わりがとても暖かく柔らかい。
そんな世界感というか、空気に満ちていて、もっと味わいたいと感じました。

そして、いつか阪急電車に乗って同じ駅を一つずつ見てみたいな、その時にはぜひこの本を持って、ああここでこうなったんだなあ、なんて考えてみたくなりました。

いままであまり考えたことがなかったのですが、実在する場所や建物、乗り物だと、そういう追体験のしかたも出来てまた楽しみがありますね。

初めて手に取った作家さんの本でしたが、とても満足して、他の作品も読もうと思っています。
そういう作家さんを見つけられるのは、本を読む上でとても幸せなことですね!

阪急電車


最後までお読みいただきありがとうございました。 

test.

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